たのしい知識 Le gai savoir

習作(@hiropon12124870)

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あなたの背は人工栽培された朝顔のように小さく、あなたの後姿からはいつも消毒液の香りがする、病院の、白いカーテンに区切られた部屋で、動脈に針を刺したまま世を過ごす少女の湿った掌、それがあなただった、囲いの外のことを知らず世を過ごす人、洞穴はまるで頭蓋骨の両目のように、目の奥の窪みに線を引き、耳元から聴こえてくるサイレンの音を口真似するあなたの口元と共に、水中に潜ったあなたの白い肌にはいつも細い血管が透けて見えている、徐々に体から抜け出ていく空気、そして流れる血の近くに落ちる葉をあなたは見つめていた、それに触れることが叶わなかったあなたが、黄緑色、と呟いたときにはもう、チューブの数は増えていた、穴から内臓にまで溶けていく生暖かな体温を、駆け出して流れ落ちる汗に這わせることをも知らず、横たわるベッドの裾はざらつき、どこか影を吸って重たかった、そんなあなたの影を拾うことを求めるわたしと共に、殺菌された太陽はゆっくり骨を溶かし、腐敗の隅に微かに目元を落としていく

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